対人関係調整業務

対人関係の摩擦は、ストレスフルな職場環境を醸成し、業務効率の低下、退職による人材流出など「ヒト」「組織」双方にダメージを与えてしまいます。
価値観や利害関係上の立場の違いによって発生する、「物事の見え方(捉え方)」や「意見(考え方)の相違」は組織に多様性をもたらしますが、自己の意見に相手を摺り寄せようとするあまり、理論的な課題に感情を持ち込んだり、感情論を理詰め説明して説き伏せようとする行動によって人間関係を壊してしまうケースも組織の現場では多々見られます。

ディアログスでは傾聴・対話技法を修練した弊社カウンセラーが、心理学的手法と組織経営的手法をの双方を活用しながら個々の意見をまずは対等にしっかりと受け止めた後、立場や意見をそれぞれ尊重した望ましい未来(問題解決)を共有するための「対話(ダイアローグ「Dialogue」)」を実践します。
また、現場組織のリーダーとなる方にその技法を実践指導し、自ら考え課題解決行動ができるよう組織開発をしていきます。

カウンセラーが活用する「対話手法」の一例

当事者同士の議論はどうしても・主張の応酬や高圧的な対応
・説得・誘導・圧力
・論点の拡散やすり替え等
対話を困難にするシチュエーションが生まれやすい。

当事者同士

Aさん

Bさん

カウンセラーを間に挟むことで
・主張の応酬を回避
・主張を受け入れて聴いてもらえる
・相手の考えを第3者として客観的に見れる
対話を円滑にするシチュエーションにチェンジする。

この時、対話の「ファシリテーター」となる
カウンセラーの技量が問われる。

カウンセラーを間に挟む

カウンセラー

Aさん

Bさん

Bさん

カウンセラーを間に挟む

カウンセラー

Bさん

Aさん

Aさん

対話(Dialogue)と議論(Discussion)の違い

対話(Dialogue)
  • ゴールを敢えて設定しない
  • リーダーを置かない(参加者は対等)
  • 選択肢を創造する
  • 想定を保留する
  • 意味を共有する
議論(Discussion)
  • 初めに明確なゴールを設定する
  • 進行役(ディスカッション・リーダー)を置く
  • 用意された選択肢の中から取捨選択する
  • 判断を下す
  • 他人を説得する

デヴィッド・ボーム「ダイアローグ 対立から共生へ、議論から対話へ」(英治出版2007)

対話によって何が得られる?

心理的安全
①聴いてもらった、受け入れてもらったという安心感が得られる。

②自己と他人の考え方、感じ方、価値観はそれぞれ異なっているのだという事を理解することができる。

③自己と他人の考え方、感じ方、価値観はそれぞれ異なっていて良い(それぞれ等しく尊重される)のだという事を理解することができる。
自律的寛容
④②および③に関する気づきから他人の他人の考え方、感じ方、価値観を取り入れる動機が生まれる。(個々人の物の見え方、感じ方、考え方が革新するきっかけ)

⑤(専門家が参加することで)新しい(専門的な)知識・手法を共有することができる(独自の新しい道筋(解決)を見出すきっかけ)

⑥②および③の葛藤や相違をも互いに尊重し、その場にいる人々の多様な声を共存させ続ける。(不確実性に耐える。)その中から考え方、立場の違いを超えて共に取り組むことができる「何か(改善策等)」を意思として共有する。

⇒話し合いの結果は誰にとっても新しいものとなる。

対話(Dialogue)することは何かの手段ではなく、それ自体が目的であり解決はその先に現れるものである。

⇒言い換えれば対話は「土壌」であり、解決策等はその土壌に育まれる「収穫物(成果物)」ということである。

「収穫物(成果物)」が欲しいだけなら業務命令するなり、議論(Discussion)を通じて相手を説得するなり、コーチングでもコンピテンシーでもいろいろな対症療法的な人事手法は存在する。
逆に「土壌」(メンバー間の信頼関係、対等に発言して受け入れられる社風)をしっかり作ることができれば、どのようなシチュエーションにおいて、どのような課題が立ち現れても対話(Dialogue)によってその組織オリジナルの「収穫物(成果物)」を生み出し共有ことができる。

オープンダイアログ(開かれた対話)の7つの原則

原語原語の一般的な訳意味合いと解説
原語
1. Immediate help
原語の一般的な訳
即時対応
意味合いと解説
必要に応じて直ちに対応する。立ち現れた問題が風化して流れていく前に対応することが大切です。
原語
2. A social networks perspective
原語の一般的な訳
社会的ネットワークの視点
意味合いと解説
本人、当事者、同僚、上司等つながりのある人々を皆、ミーティングに招く。(当事者の問題解決を当事者の居ないところで議論・選択・決定しない。)
原語
3. Flexibility and mobility
原語の一般的な訳
柔軟性と機動性
意味合いと解説
その時々のニーズに合わせて、どこででも、何にでも、柔軟に対応する。
原語
4. Team's responsibility
原語の一般的な訳
チームとしての責任
意味合いと解説
チームは必要な議論とその結果に責任をもって関わる。課題を解決する責任を投げ出さない。(積極的に発言せず他人の意見に合わせてしまう人は特に。)
原語
5. Psychological continuity
原語の一般的な訳
心理的連続性
意味合いと解説
発生した問題を良く知っている同じチームが最初からずっと続けて対応する。
原語
6. Tolerance of uncertainty
原語の一般的な訳
不確実性に対する忍耐
意味合いと解説
答えのない不確かな状況に耐える。(他者よりも優位な意見を持っていると自覚するメンバーは他者の意見を「劣るものだと診断(判断)し」「切り捨て」、自己持つ結論に「誘導し」「説得し」て結論を急ぎ、すぐに解決しようとする誘惑にかられる。)7.の「対話主義」とともにオープンな対話のための心理的安全性の基礎を形作る要素となる。
原語
7. Dialogism
原語の一般的な訳
対話主義
意味合いと解説
対話を続けることを目的とし、多様な声に耳を傾け続ける。「聴くこと」と「話すこと」をきちんと分ける事が必要。他のメンバーの話を聞きながら「自分の主張を組み立てたり」「反論を考えたり」すると議論(Discussion)や討論(debate)に転がって行ってしまう。心理的安全性の基礎を形作るため、相手の発話を引き出す質問技法の習熟も不可欠となる。

ダイアローグの成功はファシリテーターにかかっている

オンラインでの対話(ダイアローグ)の様子
オンラインでの対話
(ダイアローグ)の様子

対話(オープンダイアログ)のプロセスを通じて個人と組織(特に現場)を活性化していくためには、対話(ダイアログ)の基本構造を理解し、対話(ダイアログ)において「やるべきこと」「やってはならないこと」を熟知した専門家が、アスリートのように訓練し鍛えられたファシリテーターとして参画することが必要です。

ファシリテーターは対話の趨勢をコントロールしようとする欲求、他人の思考や行動を制御し変えたいという欲求を鋼のように抑制し、傾聴する意識・姿勢・技能を「開いた(閉じない)状態を維持し続ける」タフさが要求されます。それが出来て初めて「自己と他人の考え方、感じ方、価値観が異なっていて良い(等しく尊重される)」という心理的安全、「他人の考え方、感じ方、価値観を取り入れてみよう」という自律的寛容を備えた対話の「場」が生まれます。

自己の考え方への固執を離れて同僚に意見に耳を傾け、上司や専門家(コンサルタント等)が示す専門的な知識・手法を取り入れて前に進もうとする積極的意識を持てるのも心理的安全・自律的寛容が保たれてこそです。

逆にこれら心理的安全・自律的寛容を備えた対話(ダイアログ)の場を生み出せないまま議論だけを進めてしまうと、表層的な会話が上滑りする「井戸端会議」や、主催者サイドが用意した結論に摺り寄せて合意形成を図るための「説得のための会議(儀式)」になってしまいます。

対話(ダイアローグ)による組織の問題解決

今注目されているオープンダイアログ(開かれた対話)の手法

オープンダイアログ(Open Dialogue)は1980年代にフィンランドの精神科領域におけるケア手法としてヤーコ・セイックラ(Jaakko Seikkula)らによって導入されました。

専門家(医師等)が患者を治療のフォーマットに当てはめていく従来の精神科医療を脱却し、患者およびその家族を主人公として臨床家たちがチームとして治療方針を対話によって検討、選択(決定)、共有するNeed Adapted Treatment の普及によって統合失調症の治療結果として顕著な統計的結果を残しています。

またこの対話(ダイアローグ)による問題解決の技法はトム・エリク・アンキル(Tom Erik Arnkil)らによって「未来語りのダイアローグ」(Anticipation (Future) Dialogue)として発展し、医療福祉分野にとどまらず教育・福祉・産業等様々な立場の異なる関係者が関わる社会的場面で用いられています。

オープンダイアログ(Open Dialogue)と「未来語りのダイアローグ」(Anticipation Dialogue)は単純に比較すると時間軸の扱い方が異なりますが、開かれた対話を機能させるための基本的な構造は同じです。

オープンダイアログ

フィンランドで生まれ日本の組織でさらに発展するダイアローグ

2017年4月「未来語りのダイアローグ(Anticipation Dialogue)」勉強会in京都にて
2017年4月「未来語りのダイアローグ(Anticipation Dialogue)」勉強会in京都にて

トム・エリク・アンキル(Tom Erik Arnkil)氏  ※写真左側
フィンランドの国立保健福祉研究所教授。ヘルシンキ大学社会政策学准教授。さまざまな支援の現場における多職種連携のあり方を研究する中で、「未来語りのダイアローグ(Anticipation Dialogue)」を開発し、ヤーコ・セイックラ(Jaakko Seikkula)教授とも共同研究を行ってこられました。

ロバート・ボブ・アンキル(Robert Bob Arnkil)氏  ※写真右側
弟のトム・エリク・アンキル氏らと共に、「未来語りのダイアローグ(Anticipation Dialogue)」を開発。Arnkil Dialogues 代表。

クライアント企業内にもダイアローグファシリテーターを育て、対話ができる会社づくりをお手伝いしています。